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ますべのディベートメモ

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THR commercialization of X.(Gov)

こんにちは。最近よく見る “THR commercialization of X.” のGovをどう戦うか考えていきたいと思います。資本主義のオルタナティブを考える論題は好きなのですが、fairnessが微妙で出題されなくなるのは悲しいので。

1. statisticsから

まずは統計データを分析してみましょう。直近の3大会のタブを参照すると、Govが弱いことがはっきりと分かります。ABPで1.14:1.86, JBPは0.9:2.1, govの平均獲得ポイントが1を割っています。エバグリも1.05:1.95。この系統の論題はざっくりとGov:Opp=1:2くらいのポイント比であることがわかりました。比較用に同じくoppが資本主義肯定スタンスを取り、現実の具体例を分析することでmechanismが出せると思われるK-cup 2021(BP) R3を見てみましたが、 "THR commercialization of X." の方が偏りが顕著です。これは明確に共産主義スタンスを取れる “degrowth”に対して、“commercialization”は明確なオルタナティブが存在しないかつ、特定の分野に関するretrospectiveな知識を要求されることが原因であると考えられます。

ABP 2021 R6

This House regrets the commercialization of counterculture art
gyazo.com

JBP 2021 R1

THR the mass commercialisation of football
gyazo.com

OG:1.0, OO:2.0, CG:0.8, CO:2.2
Gov:0.9 Opp:2.1
*1

Evergreen Cup 2022 R2

THBT commercialization of international sporting events (e.g. Olympic games) does more harm than good.
gyazo.com


比較用: K-cup 2021(BP) R3
gyazo.com


2. 原因と対策

これだけoppに傾いていると、重度のHipHopオタク, サッカーオタク, スポーツ観戦オタクetc…がチームにいない限りvetoしたくなりますが、BPで出たら困るので対策を考えましょう。いつも通りHorizontalでどうすれば戦略的に勝ち筋が拾えるのか見ていきます。

2-1. Oppが強い原因から考える

・資本主義システムをそのまま分析可能
・現在の資本主義を肯定するnarrativeをそのまま流用可能(現状肯定)
→相手が自分と同等の強さであることを仮定した場合、Govのcounterfactualのdepth of analysisが浅くなるのでLikelihood比較で戦うことは非推奨

2-2. Govの勝ち筋

・oppの守りたいactorのexclusivityを全力で削る(資本主義によってbenefit受ける奴は強者なので、非-商業化された世界線でも強者であり続ける可能性が高い)
・モラハイを取れるアクターをがんばって探し、impactのseverityで勝つ(scale比較は資本主義に有利なので非推奨)
・相手の価値判断をflipする

2-3. ベンチ内比較

まさおさんから頂いた有難いアドバイスです。ポイント比から逆算すると、Govを引いたときはベンチ内比較で4位を回避する方が現実的に思えるので、こちらの戦略に重点を置く方がいいかもしれません。
1. APの世界の具体化が忘れられがち(commercialization of X自体のハームだけ投げて終わりがち)なので埋める
2. Commercializeしてる人のincentiveとかを分析して、何故都合の悪い(harmfulな)形でされているのかを説明
→OG/OOのdeadlock解消にもなる
3. Xとnon-Xの差を明示してuniqueにする

3. Counterfactualを考える

retrospectiveな論題に関するヒントはまさしく ‘we encourage you to use your imagination.’ すなわち ‘Prior to that’を考えればよい。
  

3-0. 抽象化して類題から考えてみる

先例から考えるというのも抑えておきたい思考形式。“Regret Commercialization”の類題として考えられるMotion群は以下の通り
・THO organized religion.
キケロからマルクス・アウレリウスまでのあいだ、神々はもはやなく、キリストはいまだない、ひとり人間のみが在る比類なき時代があった」*2

・THO system of marriage.
「正規の婚姻を中心としたこのシステムに、十八・十九世紀における言説の急激な増大は、二つの変更をもたらした。第一には、異性愛に基づく一夫一婦制に対する遠心的運動である......そこから性現象の場で、「自然に反するもの」の特殊な次元を掘り起こすことになる......これらすべて周縁的性現象の出現は何を意味するのか......」(Foucault, 1976)

・THBT the world’s poor would be justified in pursuing complete Marxist Revolution.

‘That is to say, just notice how chronocentric our vision of civilization is. That is, a system of private property emerged out of the enlightenment that is the last 300 years of human existence. Prior to that people lived in sharing economies where they defined themselves as something greater than their labor and their productive force. That’s the kind of world that we support.’ (Bo Seo, 2016)

3-1. international sporting events(e.g. olympic games)

商業化される前のオリンピックを考える
近代五輪の父クーベルタン男爵が復興を目指したのはオリンピア大祭。すなわち、戦争の休止協定であり、アマチュア精神の発揮の場。前者はfeasibility的に難しいとしても後者はいけそう。(anywayプロ向けの国内スポーツ機会は確保されるのに対して、アマチュアの国際大会はgovのパラダイムのみにexclusiveに存在できると考えられるため)。impactは交流とか?(よわそう)

害の不在の論証がメインになりconstructiveではない立論になりそう。害の不在飲みを論証する場合、オリンピックetcは廃止されますってcounterfactualのシナリオの方がnegativeだけどスッキリするような気もします。

4. 帰結
ここまで書いてみましたが、その場で言えそうなアーギュメントはいくら書いても勝てないなと思ったのでやめます。govが勝てるかどうかは結局リサーチ量でoppを上回れたかどうかな気がします。oppは資本主義generalな分析がいくらでも出せるので、固有の分析がいかに多く出せるか、problemをどれだけ多くストックしておけるかどうかが分かれ目です(害がmitigate可能だという論証にgovのimpactの大きさが依存するため)。gov/oppに同程度のリサーチの深さを想定するならoppが勝つような気がするのですが、現にMotionが出されているということはGovの勝ち筋があり、一定フェアネスが担保されていると各大会のAC会議で判断されているということで、機会があれば勝ち筋などを聞いてみたいと思います。

とりあえず今日はここまで。のちほど思いついたら追記します

5. 追記: ジャッジのburdenの掛け方について

まさおさんから「Regret motionに対してジャッジはis-ought problemに反してGovに重い証明責任を課しているのでは?」という趣旨のご指摘があったので併せて掲載しておきます

*1:statisticsは公開されていないが、平均ポイントは「結果」タブの各試合の結果を手計算して求めることができる

*2:≪Les dieux n'étant plus et le Christ n'étant pas encore, il y a eu de Cicéron à Marc Aurèle un moment unique où l'homme seul a été.≫ Flaubert