ベンチ内比較(BP)
こんにちは。テスト前にframing/weighingについて頭の片隅に入れながら生活していたらノートにまとまった量の原稿が出来上がっていたので放流させます。あまり比較は得意ではないので、間違った理解があったりしたらごめんなさい。指摘していただけると助かります。
BPのベンチ内(上下)比較についてある程度原理的な理解をすることが目標で、以下の3つの比較パターンを含んでいます。
practical(vertical)
practical vs principle(非帰結依存)
practical vs principle(帰結依存)
よくあるpractical(horizontal)についてはHorizontalにopeningを抜こうとしている時点で評価軸と理由をはっきりさせてからその戦略を採用している場合が多く、ディベータ―目線でもジャッジ目線でも自分はあまり評価に困っていないので今回の原稿には含まれません。では早速本題へ。
1. Practical(vertical)
OGがあるアーギュメントをimpactまで落としたが、幾つかのコアのメカニズムはdropしていて、OOに負けている/少なくとも明確な比較はされていないケースを想定しました。
1-1. よくある比較軸
「OGは一応アーギュメントを立てて価値判断まで示したが、コアのMechanismが抜けていたので、それを埋めたCGの勝ちです」
これは本当によく見かけるのですが、比較になっていないと思います。理由は以下の2つ。
A. 文法的に換言可能であること
「CGは一応コアのMechanismを示したが、アーギュメントを立てて価値判断まで示せていないので、それを埋めたOGの勝ちです」
という文章が可能です。ゆえにこの文章はラウンド内においてexclusiveな意義を持たないと考えられます。もしこれをRFDに採用してしまうと、CGは後に言ったから勝ちですと言うのと同義になってしまいます。
B. contributionを示していないこと
Argumentのラウンド内の評価は相手ベンチとの比較の上で成立します。肝心の評価が不明なのに、完成させるという行為単体を評価するのは極めて難しいと思います。
1-2. 導入すべき評価軸
A. OGの段階でOOを上回っていない/deadlockであり、それを自分たちのMechanismが解消したことを示す
自分たちのmechanismがあって初めてOGのアーギュメントがOOを上回ることを証明した場合、そのmechanismがあって初めて勝ちから演繹される正のcontributionが発生するのでopeningを抜く立派な理由に成り得ます。
B. このラウンドがmechanism heavyであるため帰結を示すよりもlikelihoodを示す方が価値が高いことを示す
特にgoal共有のラウンドでシナリオのlikelihoodが争点となっている場合、mechanismを埋める価値が高くなります。帰結は両サイドのconsensusであることが多いので、メカニズムの方を示したことをハイライトすれば、仮にシナリオの取り合いで横に負けたとしてもOOを抜けてさえいればopeningを上回る理由にはなり得ます。
1-3.frameworkとの関係
Aはどちらが勝ったか?というラウンドの帰結に依存するので、先にフレームとして提示しても結局トートロジー(縮小律)で終わりframeとして用いる価値はありません。Bの戦略を取る場合、Goal共有型ラウンドはMechanismで見るべきというframeを先に出して議論範囲を狭めるという議論戦略は有効に機能しやすいと思います。
2. practical vs principle(非帰結依存)
そもそもprincpleが立っている前提に基づいて話を進めます。ここからはいろいろなprincipleがあって抽象的議論だと辛いので、具体的に話を進めてゆきます。用いる論題は “THO lethal autonomous weapon systems (Evergreen 2022 R3)”で、CGがAccountabilityが無いという話を立てきった想定です。
2-1. 前に見た違和感のある説明
「principleの方がpracticalの議論に直観的に優先されるので~」
これは自明ではないと思います。確かに論点の先後関係を設定するとpracticalの前に優先して考慮されるべきprincipleもありますが、あくまでその整理を行った後に初めて出てくる帰結です。なので、あくまで記号的に論証していきましょう。
2-2. 必要な論証
A. 議論の先後関係の整理
Accountabilityの有無はLAWSの存在性格自体を問うもの(agencyがないとか)で、原理的に帰結が発生するよりも先に議論可能です。なのでoppの技術革新でmasacreの発生確率が下がり続ける、みたいな帰結に依存せず、かつそのような主張よりも先に考慮すべきであるという主張は採用してもいいでしょう。
B. 議論単体の評価
ラウンド内の全ての議論に先行する議論であると認められ、かつその議論が成立しているのならば1位です。注意しなければならないのは、LAWSのケースの場合、戦争で死者が何人出るか?という帰結に対してaccountabilityの議論は独立ですが、人間の場合に実際にどうaccountabilityがculculateされいるのか?(軍事法廷, ICC, etc…)の帰結に対しては依存しているという点です。principleの議論は常に何かしらの帰結の後に発生し、帰結に依存しないという表現よりかは、この帰結に対しては独立であるがこの帰結に対しては依存的である、といった限定的な用法の方がより正確である気がします。
3. practical vs principle(帰結依存)
メインとして出されているプラの帰結に依存的なprincipleのラウンド内の意義は、価値判断の強化/線引きの明確化であると思います。とりあえず論駁すべき事例が思い浮かばないので、原理的な説明から始めます。
3-1. 原理的な説明
Openingの段階でプラの殴り合いになっていたときにARPが使えるMetricは(impactで評価するなら)ScaleとSeverityです。帰結依存のprincipleを出す意味は、これら2つの評価軸に加えて第三のMetricによりpracticalの帰結が評価されるべきで、それがopeningの議論を踏まえて自分たちのベンチを勝ちにする理由になることを示すことです。
3-2. 示されるべき事柄
A. そのMetricは何か
B. なぜそのmetricでプラの帰結が評価されるべきか?
これはscale/severityという2つの評価軸との比較です。それら2つではなく、この評価軸で見られるべき理由を論証します。
C. そのMetricを用いて比較したとき、初めてOGの出した帰結がOOを上回る説明
結局最後はcontributionで見られるので、scale/severityで比較できなかった/比較してたら負けてたけどこのスケールを出すことで初めて勝ちを示したことになります、との説明が必要です。逆に言えば既にOGがscaleでコンパリして勝っているのならCGの帰結依存principleが以下にスマートでも、それ単体でOGを上回ることはありません。
3-3.具体例
“THBT developing countries should require their citizens to work for a certain period of time in their country of origin after graduating from university(Evergreen cup 2022 R4)”
oppが個人の権利の侵害の程度論を出してきたと仮定しましょう
A. Metricの提示:一般原則
・個人の権利の侵害は最低限であるべき
→birth lottery生れ落ちる場所は選べないので、自分の力で周囲の環境を改変して住みやすくする幸福追求能力は最大限保障されるべき
・Mobilityを奪うと、単に移動の自由が制限されるだけでなく、経済活動や財産権等が(可能であったキャリア実現が不可能になるという帰結に基づいて)侵害される
・taxするだけなら、財産権のみの侵害に留まる
B. applicability: 特殊適用
1. mobilityがconpensation無しに侵害されるのは、明らかなharm to othersが予見される時のみ
analogy: quarantine, imprisonment
(道路の立ち退きとかの場合はconpensateされる)
2. このmotionでは海外に行くことがharm to othersしてないし、政府が個人に対して何もconpensateしていないのでmobilityを侵害することはできない
3. 国内の教育インフラ使ってめっちゃ海外で稼いでるのはredistributionの問題なので、海外の所得に対してtaxすればそれで十分(加えてtax可能っていうカンプラのfeasibility)